MN-166

ARDS(急性呼吸窮迫症候群)

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)とは?

急性呼吸窮迫症候群(Acute Respiratory Distressed Syndrome:ARDS)は、重篤な肺機能不全の一つです。肺炎、外傷、有毒ガスへの曝露などにより肺が大きな損傷を受け、炎症性サイトカインが大量に放出されるサイトカインストームが起きます。肺胞と呼ばれる小さな空気嚢の内部に血液や体液が溜まり(肺水腫)、肺胞がつぶれ空気中の酸素を血液中に取り込むことができず、低酸素状態になります。肺損傷後に非常に急速に悪化する場合もあり、発症後の死亡率は30~50%ほどの非常に生命予後の悪い疾患です。

患者数など病気の規模は?

米国の複数の研究データよると、集中治療室に入院した患者の約10〜15%がARDSを発症しているといわれています。米国国立心肺研究所(NHLI)の呼吸困難症候群に関するタスクフォースは、米国におけるARDSの発生率を年間15万例と推定しています。

現在ある治療法は?

集中治療室で人工呼吸器によって呼吸機能をサポートし、輸血、水分量の管理、中心静脈を用いた栄養管理など全身管理のほか、抗生剤、炎症鎮痛剤、抗凝固剤などの薬物療法が用いられます。
ARDSを発症すると、肺の器質化、線維化を改善する治療薬は現時点ではありません。そのため、いかに早期に炎症を抑えるかが、生命予後の改善の鍵になります。

MN-166への期待は?

ヒトの体では感染や、ケガ、有毒ガスへの曝露などの強いストレスを受けると、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)というサイトカインが分泌され、そこから、ドミノ倒しのように次々と他の炎症性サイトカインも活性されます。MN-166の主要なメカニズムの一つが、MIF阻害作用です。MN-166はMIFを阻害することで炎症反応のドミノ倒しを上流で食い止めることが出来ると期待されています。ARDS動物モデルスタディから、MN-166がこのARDSを予防することが証明されました。MN-166を投与することで、肺組織の損傷、肺うっ血、肺の浮腫、肺の細胞死を予防したほか、炎症に関わる数種類のサイトカインを強く抑制したことが報告されました。

メディシノバの治験について?

ARDSの発症リスクのあるCOVID-19入院患者を対象とした無作為化・プラセボ対照・二重盲検デザインのフェーズ2治験を米国Yale大学とDenver大学の2施設で実施しました。治験参加基準を満たす合計34名の患者さんが無作為にMN-166またはプラセボ群に割り当てられ、各施設の標準治療に加えてMN-166またはプラセボを7日間投与されました。治療開始7日目に呼吸不全から回復した患者さんの割合、臨床症状の改善などを評価しました。
MN-166による治療群は、プラセボ群に比べ「7日目において呼吸不全から回復した患者の割合」では統計的に有意差を示しました。更に、臨床状態が改善し「7日目において退院できた患者の割合」でも統計的に有意差を示しました。

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