糖尿病に合併した脂質異常症とは?
脂質異常症とは血液中の脂質の数値が正常値から外れた状態です。多くの場合、「悪玉」のLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、または「善玉」のHDLコレステロールが減った状態のことを指します。血液中の脂質には血清の総コレステロール、LDL、HDLや中性脂肪があります。
糖尿病において血糖値が高い状態が続くと、エネルギーとして使われなかった余剰の糖分から中性脂肪が生成されます。糖尿病ではインスリンが正常に分泌されず、中性脂肪の分解が悪くなります。糖尿病に合併した脂質異常は、血管障害を引き起こします。大血管が障害されると(大血管症)、脳梗塞、心筋梗塞、腹部大動脈瘤等などの原因になり、小さな血管が障害されると(細血管症)糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病性神経障害など引き起こされます。
糖尿病に合併する脂質異常症としては、高中性脂肪血症と低 HDL コレステロール血症が典型的です。日本の 2 型糖尿病患者においては、中性脂肪が LDL コレステロールに匹敵するリスクファクターともいわれています[ 1 ]。さらに日本人高齢糖尿病患者においては、HDL コレステロール低値も有意な脳血管障害のリスクファクターであったことが示されています[ 2 ]。
患者数など病気の規模は?
糖尿病患者は、予備軍を含めると日本国内だけでも2,000万人に上るといわれています[ 3 ]。一方、脂質代謝異常症は、継続的に治療を受けている患者だけでも220万人と推定されており[ 4 ]、未治療患者や予備軍も含めると、総数は700万人とも、1,400万人ともいわれています。NAFLD患者の脂質代謝異常、高血糖の合併割合(それぞれ70%、22%)から、糖尿病性脂質異常によるNAFLD患者数を推計すると、350万人程度と推定されます。
現在ある治療法は?
糖尿病性脂質異常症に対しては、症状に応じて、糖尿病薬や脂質代謝改善薬が処方されています。
MN-001への期待は?
詳しいメカニズムは判っていませんが、過去の臨床治験においてMN-001が血清中性脂肪値を低下させることが観察されました。高中性脂肪を呈するNAFLD/NASH患者を対象としたフェーズ2治験では、MN-001が血清中性脂肪値を有意に低下させ、他の脂質プロファイルの改善も観察されました。この脂質プロファイルの改善は、糖尿病歴を有す患者さんで特に顕著なものでした。
メディシノバの臨床治験について
現在、糖尿病性脂質異常症(高中性脂肪症)によるNAFLD患者を対象とするプラセボ対照、二重盲検のフェーズ2治験を実施しています。この治験では、血清脂質プロファイルの変化のほかに肝臓内脂肪量の変化も評価します。