MN-166

グリオブラストーマ(神経膠芽腫)

グリオブラストーマ(神経膠芽腫)とは?

原発性悪性脳腫瘍は、小児と若年者のがん死因の中で最も高く、メラノーマによる死亡よりも多いとされています。中でもグリオブラストーマは、脳グリア細胞から発生し急速に周囲の脳組織に広がり、進行が非常に早く、致死性が非常に高い脳腫瘍とされています。世界保健機関(WHO)脳腫瘍悪性度分類で最も悪性度の高いグレードIVに分類されます。

患者数など病気の規模は?

米国脳腫瘍学会によると、グリオブラストーマは全脳腫瘍の15%、グリオーマ(神経膠腫)の56%近くを占めています。悪性脳腫瘍の中でも最も多く、米国では2018年に約1万3,000人の患者が新たに診断されると考えられています。グリオブラストーマと診断された患者の生存期間中央値は14.6カ月、2年生存率は30%と言われています。また、診断後36カ月以上生存可能な患者は5%と言われています。

現在ある治療法は?

グリオブラストーマの現在の標準的な治療法は、手術、放射線治療及びテモゾロミド剤による化学療法です。また、グリオブラストーマの治療薬として、GLIADEL® WAFER(カルムスチン・インプラント)及びAVASTIN®(ベバシズマブ)が承認されています。当社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ及びアムジェン等の他社において、その他の化合物がグリオブラストーマ治療のために開発段階にあることを認識しています。

MN-166への期待は?

MN-166の薬理作用の一つにマクロファージ遊走阻止因子(MIF)というサイトカインを阻害する作用があります。MIFはグリオブラストーマ、膵臓がんなどのいくつかの悪性腫瘍に強く関与しています。MIFを阻害することで癌細胞の腫大、浸潤、転移などを抑える事が知られています。MN-166はグリブラストーマ標準治療で用いられる化学療法薬のテモゾロミドへの感受性を高め、癌細胞の浸潤を抑える事がわかりました。癌細胞は自己の腫大と転移を促すためMDSC(骨髄由来免疫抑制細胞)を誘導することが知られています。MN-166はMDSCの機能を低下させ、細胞障害性 CD8 T 細胞活性を増強させることも新たな研究で明らかになりました。グリオブラストーマのマウスモデルの実験ではMN-166をテモゾロミドや免疫チェックポイント阻害剤と一緒に投与することでグリオブラストーマの腫瘍の浸潤を抑え、生存日数を延長させました。

メディシノバの治験について

現在、フェーズ1/2臨床治験がダナ・ファーバー・癌センターで実施中です。本治験はMN-166の用量を漸増させていくパート1と、MN-166の用量が一定量に特定されたパート2に分けられます。パート1では、テモゾロミドと併用して投与するMN-166の薬物動態、 安全性および耐容性を評価し、パート2ではグリオブラストーマ患者における MN-166とテモゾロミドの併用治療の有効性に関して、治療 6ヵ月後のグリオブラストーマ無増悪患者の割合で評価します。本治験は2023年1月に患者登録が完了しております。

薬事規制における指定などに関して

米国食品医薬品局(FDA)からグリオブラストーマの適応においてオーファンドラッグ(希少疾患治療薬)の指定承認を受けています。

タイトルとURLをコピーしました