NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)とは?
肝細胞に脂肪(中性脂肪)が蓄積する病態を脂肪性肝疾患と言い、脂肪滴を伴う肝細胞が30%以上認められる場合が脂肪肝と言われます。脂肪肝のうち、アルコールを摂らない方や、アルコール摂取が原因ではない脂肪肝が非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれます。NAFLDが進行し、肝細胞障害、炎症や線維化を伴うようになると、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)と呼ばれるようになります。NAFLDには、脂質代謝異常、高血圧、高血糖が高頻度(それぞれ、約70%、約40%、約22%)で合併していることが報告されています[ 1 ]。NAFLD/NASH患者における肝硬変や肝癌発症の最も強い予測因子は、糖尿病であり、発症リスクが約2.3倍になることが報告されています[ 2 ]。
患者数など病気の規模は?
NAFLDの有病率は25.2%、その約1~2 割がNASHと考えられていて、有病率は上昇しています。日本では、NAFLD患者は約2,260万人、NASH患者は376万人と推計されています。米国では、2型糖尿病合併NAFLD患者は約1,820 万人で、そのうち35%の640 万人がNASHと推定されています[ 3 ]。
現在ある治療法は?
現時点で、NAFLDを対象とした承認されている医薬品は存在しません。NAFLDと併発する疾患や症状に対する対症療法が中心です。例えば、糖尿病を併発するNAFLDには、抗糖尿病薬のうち、肝臓に悪影響のない薬剤が投与されています。
MN-001への期待は?
詳しいメカニズムは判っていませんが、過去の臨床治験においてMN-001が血清中性脂肪値を低下させることが観察されました。ヒト肝細胞を用いたIn-vitroの研究で、MN-001が脂肪酸の一つであるアラキドン酸の肝細胞への取り込みを抑制することにより肝細胞での中性脂肪の新規合成を抑制することを認めました。MN-001はNAFLDの原因である脂肪肝(肝臓への中性脂肪の蓄積)を抑制する可能性が期待されます。
メディシノバの臨床治験について
現在、糖尿病性脂質異常症(高中性脂肪症)によるNAFLD患者を対象とするプラセボ対照、二重盲検のフェーズ2治験を実施しています。この治験では、血清脂質プロファイルの変化のほかに肝臓内脂肪量の変化も評価します。