開発パイプラインについて
IPF(特発性肺線維症)
IPF(特発性肺線維症)とは?
肺線維症は、肺の瘢痕化によって内膜が厚くなり、不可逆な拘束性換気障害をきたす進行性肺疾患です。肺線維症の原因はさまざまですが、抗がん剤治療や化学物質への暴露等で起こります。特発性肺線維症は、原因不明の肺線維症の一種です。IPFは予後不良であり、平均生存期間は診断後わずか2~3年で、患者の3分の2以上が5年以内に亡くなります。
患者数など病気の規模は?
肺線維症基金によると、米国におけるIPFの患者は13万2,000人~20万人で、さらに毎年、推定5万人が新たにIPFと診断されています。
良い薬はないの?
米国で承認されているIPF治療薬には、ロシュ(旧インターミューン)およびベーリンガー・インゲルハイムの製品があります。臨床開発段階にある製薬会社には、ロシュ、サノフィ、バイオジェン、ファイブロジェンなどがあります。
メディシノバの開発はどこまで進んでいるの?
2014年に前臨床試験を完了した後、肺線維症のマウスモデルにおけるMN-001の良好な結果を公表し、米国食品医薬品局(FDA)からIPFを適応とするMN-001に対してオーファンドラッグの指定を受けました。
2015年9月には、IPF患者の治療薬としてのMN-001に対してファストトラックの指定承認を受け、同年10月より中等度から重度のIPFを適応としたフェーズ2臨床治験をペンシルバニア州立大学で開始。現在実施中です。
2016年7月に、諸原因による、様々な臓器や組織における線維症、線維化疾患を適応とするMN-001に関する新たな特許に対し、米国特許商標庁(米国PTO)から承認を得ました。また、中国特許庁からも同年3月にMN-001の結晶型に対する物質特許、医薬組成物および製造方法が特許承認を得ています(同様な特許はすでに米国、日本などで承認されています)。
瘢痕化(はんこんか)
火傷や潰瘍などが完治せずに、隆起や陥没、色素沈着などを伴う痕(きずあと)となって残ること。
拘束性換気障
肺が何らかの原因によって固くなったり、呼吸筋が弱くなったりしたため、肺が十分に拡張できず、息を十分に吸えない障害。
化学物質への暴露
化学物質が、人体に触れたり、吸入されたりすること。
マウスモデル
ヒトの疾患や病態の研究やその予防法・治療法の研究のために用いられる特殊な系統のマウスのこと。
オーファンドラッグ
患者数が少なく治療法の確立していない稀な疾病に対する医薬品のこと。米国では、米国内における患者数が20万人未満の希少疾患に対する、安全で効果的と考えられる医薬品に対してオーファンドラッグの指定を受けることができる。患者数が20万人を超える疾患でも治療法が確立していない難病などの治療薬で、開発および販売にかかる費用の回収が困難と思われる場合にも指定を受けることができる。オーファンドラッグに指定されると、医薬品がFDAに承認された後、7年間の排他的先発販売権や税制での優遇措置が受けられる。
ファストトラック
米国食品医薬品局(FDA)の優先承認審査制度のこと。深刻な疾患または生命を脅かす疾患に対する治療薬の開発を促進し、承認審査を早め、充たされていない医療ニーズを充たすための制度。医薬品開発の効率を高めるために、開発および承認審査の全過程において、FDA と製薬企業の間で迅速かつ頻繁な連絡・協議が行われる。ファストトラックに指定されると早期の承認につながることが多く、医薬品がより早く患者の手元に届くことになる。
米国特許商標庁(米国PTO)
アメリカ合衆国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office)は、米国連邦政府の商務省に属する機関の一つで、特許および商標の権利付与を行う。
物質特許
新規に生成された医薬、化学物質、飲食物に対して取得される特許のこと。
関連プレスリリース
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2020/01/28 ヨーロッパにおけるMN-001(Tipelkast)の特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis)を適応とする特許承認のお知らせ -
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2016/01/28 MN-001及びMN-002の肝線維化を認める進行型NASHを適応とする特許承認のお知らせ -
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2015/02/10 MN-001の特発性肺線維症(IPF)を適応とするフェーズ2臨床治験の承認通知受領のお知らせ